New Japan Initiative Blog – 在米コンサルタント3人が日本人ビジネスパーソンに提言します!


言い訳、それとも説明?

morioです。先日、在米日系企業で働いている友人のアメリカ人と話していたら、彼の上司の日本人副社長にめちゃくちゃ叱られたというのです。さらに詳しく聞いてみると、とても予算も人員も十分でないプロジェクトを任されそうになって、このままでは成功するはずがないと主張したら、やりもせずに最初から白旗を揚げて言い訳、弁解(Excuse)ばかりしていると言って怒られたというのです。友人は、今まで自分の経験から人やシステム、予算などのリソースが足りず全く勝算を見込めない現状でこのプロジェクトに時間やエネルギーを投資するのは無意味なので、そのことを一生懸命に説明(Explain)しようとしただけなのにとこぼしていました。

今回は相手の副社長の話を聞いていないので彼の置かれている立場は分かりません。もしかしたら日本の本社からどうしても行なうようにとプレッシャーを感じていたのかもしれません。ただ友人が不満なのはよくわかります。

私は今まで日系企業に勤めているアメリカ人の社員と日本人駐在員から、この言い訳、弁解(Excuse)と説明(Explain)に関する認識の違いを今までたくさん聞いています。アメリカ人が一生懸命説明すればする程、日本人は言い訳、弁解と受け取ってしまい、悪循環に陥ってしまうという話です。

私たちは余裕があれば相手の物差しに合わせたり、スタイルスイッチをすることもできますが、大きなプレッシャーがかかったストレス状況ではどうしても自分本来のやり方や行動パターンを選択し、また、相手の行動を自分の物差しで判断してしまいます。

それでうまく進めば良いのですが、むしろ元々の自分の意図とは異なったネガティブなインパクトを相手に与えてしまい、お互いに生産的な関係からほど遠くなってしまうことがよくあります。

そんなことを今回の友人の話から、思い返してしまいました。



議論で勝って、恨みを買う

Masakiです。日本の友人から「正論で押しまくっても、恨みを買うからな〜。」とか「相手の逃げ道もちゃんと残しておかないと、後でしこりを残すよな〜。」などとよく聞きます。又、グローバルビジネスで「あれだけガンガンやって、あの二人結構仲がいいじゃん。」などと不思議がる日本人も見かけます。何はともあれ、日本人はガンガン議論を戦わせる事の経験が少ないように思われます。

グローバルビジネス環境というのは、そもそも異質性の高い社会です。自分自身の考えを持ち、行動し、又は意見を率直に他人に伝える事は、自然な成り行きです。そういったグローバルなステージで日本人がガンガン議論を戦わせると恨みを買う事も多いようです。そんな経験から、国内国外を問わず「議論で勝って、恨みを買う。」というイメージが出来上がっているのかもしれません。

では、議論慣れしている人達と議論に慣れていない人達、議論しても恨みを買わない人達、買う人達の違いはどこから来るのでしょうか?

これは、目的意識、又は目的に対しての取り組み方の違いから来るのだと思います。グローバル社会という異質性の高い社会では、議論を戦わせる前に目的をしっかり共有する事が多いです。目的をハッキリさせ、強い軸足を基に議論を戦わせます。日本社会のように同質性の高い社会では、目的という看板はあっても、曖昧な認識であったり、何を目的とした議論なのかという共有も浅い為、どうしても軸足が弱くなってしまいます。

そんな状況の中、ガンガンやりあってしまうと、主題と関係のないところまでガンガンやりあってしまい、お互いの感情を傷つけてしまう事もあるようです。良くある例が、「だから君はダメなんだ。」です。皆さん、こういう表現を耳にしたことありませんか?

これって人格への攻撃であって、議論、または、目的を達成する内容とは違う類いのコメントですよね。ここに踏み込んでしまうと、外国人だろうが日本人だろうが、後でしこりを残してしまいます。

グローバルに活躍し、議論慣れしている人達は、この辺をきちんとわきまえてガンガンやっている事が多いです。こんな所を意識して、ガンガン議論する事も日本人のグローバル化に繋がると思います。



英語 PART 2

noriです。前回の記事に対して、読者の方から「(英語の)ネイティブを相手に対等にビジネス交渉を行ううえでの心構え、ノウハウ」のヒントがほしいという問い合わせがありました。今回はこの点を取り上げてみましょう。

まず心構えという点ですが、これは我々日本人にとっては特に注意すべき点でしょう。私自身が体験した日本の教育方法を振り返ると、傾向として「弱点を徹底的に克服する」ことにフォーカスしていたと思います。これは日本の製造業における品質管理の優秀さにも関連していますね。つまりcontinuous quality improvementの世界です。もちろん、これは日本がグローバルに誇れるポイントでもありますが、その弊害は「多少の欠陥はともかく、まずは自分の強さを徹底的に伸ばす、あるいは利用する 」ことを怠る傾向です。英語のネイティブと英語で交渉する場合、相手の英語力になんとかついていこうとすれば、日本人の多くは自分の弱点に神経が集中してしまうでしょう。もっと怖いのは、英語ができなくて相手に申し訳ない、という気持ちになることかもしれません。お薦めしたいマインドセットは、「今回は私の言語ではなくあなたの言語で交渉してあげるから、こちらにハンディをください」のような態度でしょうか。

ノウハウという点ですが、まずは自分の言語で交渉する時以上に自分の強みを徹底的に分析し、なんとか強みにフォーカスした話し合いに時間をかけられるよう、最初からこちらがアジェンダを設定しておくことが重要です。次に、いくつかグラウンドルールを交渉しておくことも有効ですね。ここでは、先ほど述べた「ハンディ」を考慮するよう相手に要求できればいいですね。例えば、「こちらがしゃべっている時は絶対にさえぎらない」、「私がリクエストした時にはそちらの主張を文書化し、私が辞書を引く時間を5分ほしい」、「こちらのチームが頻繁に話し合える時間を用意しておく」などはいかがでしょうか。

もちろんまだいろいろありますが、ぜひ皆さんの考えもシェアしてください。



オバマ大統領のお辞儀

morioです。先月、オバマ大統領が訪日した際に、天皇陛下と面会した際に深々とお辞儀をしました。その写真が公開されると、日本では、概ね好意的反応(礼儀正しい、敬意を示してくれた、等)、一方アメリカではネガティブな反応が起こりました。特に保守派を中心にあそこまで頭を下げることはなかったのではないか、低姿勢過ぎる、自己卑下している印象を与えた、そして、アメリカの尊厳を傷つけたという非難が起こりました。

前回の投稿で、2つの物差しについてお話ししましたが、今回、オバマ大統領がお辞儀をしたということは、意識的に相手の物差しに合う行動を選択したということです。相手(日本)との関係を重視し、その行動をとることによって起こるメリットを想定して決断したはずです。言い換えれば柔軟性を示すことで相手からの信頼を勝ち取ろうとしたわけです。ただここでの落とし穴は、味方(アメリカ国民)から否定的に見られ、非難され信頼を失うという危険があることです。今回のオバマ大統領は、味方からのサポートを少し失うかもしれないが、グローバルなレベルで今までにないアメリカの柔軟性を示すことで、過去とは違う新しいアメリカのイメージを作り、(日本に対しての敬意を示すことで)日本を始め他の国々から信頼を回復することできたらそのほうがよりメリットが大きいと判断したのでしょう。

今まで、私が関係した在米日系企業の日本人の方や日本の外資系企業の外国人エグゼクティブの中に、本社、本国のスタッフから「You became a native, too much.」「どっちのサイドについているの。いずれは本社、本国に帰りたいでしょ。」と言われ、厳しいプレッシャーを体験した方が多くいます。

相手の物差しにあった柔軟性ある行動をとることを「Style Switch」と呼んでいますが、「Style Switch」するリスクは、味方から浮いてしまいサポートを失う可能性があります。「Style Switch」するリスクと「Style Switch」しないリスク、どちらをとるか意識して決断しなければなりません。

今回のオバマ大統領のお辞儀が、相手の物差しに乗り換えること、「Style Switch」のメリットと難しさの両方を思い出させてくれました。