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狐狸庵歓話
第五話: 一期一会を大切に。 2010年 夏
日本から帰国する前日の事、アメリカの友人から国際電話が入りました。「キクちゃんが逝っちゃったよ。」覚悟はしていたものの、未だにちょっと心が重いです。
キクちゃんは、多分、僕より2〜3歳年上の女性でした。海の中で知り合い、何度かコーチングを兼ねて、ハンティントンなどにサーフィンに出かけました。ずうっと独身を通してきましたが、アメリカで単身生きて行く上で色々な事があったようでした。女性で独身、現地採用でIT技術者(SE)で、駐在日本人女性の下で働いていました。僕も現地で生きて来ている為、彼女の通って来た道が可成り険しかった事は容易に想像できます。ちょっとだけ、悔しい思いも語っていた事を思い出します。まあ、サーフィンしていた時は、馬鹿笑いしていましたが。。。(僕を見て笑っていたのかな〜。)
去年の12月、癌が発見され治療をしていましたが、骨盤への転移が見つかった為、急遽日本に帰国、県立ガンセンターに入院していたようです。余りにもの急展開だったので、僕が知ったのは、今年の2月頃だったと思います。よって、何年か前に一緒にサーフィンして以来、言葉を交わしていません。
自分をしっかり持っている女性で、「かっこいい」人でした。行動もCoolな所があったので、誤解を与えてしまう事もありましたが、とても暖かい女性でした。「駐在員の下で働いていると芽が出ない。」という気持ちがあったのでしょうか。40歳を過ぎてから、昼はバリバリ仕事をして、夜学に通いCPA(米国公認会計士)の免許を取ったようです。この行動力は凄いよね。力を感じます。
辛い思い、ストレス、無理のし過ぎ、かどうかは分りませんが、今はもう会いたくても会えない人になってしまいました。先週の土曜日、キクちゃんを偲ぶ会がハワイ形式で行われました。参加した連中は、皆、サーファーで、5〜6年会っていない人も含まれていて、久しぶりに仲間内で海に入りました。
一期一会。。。30代中位までは、自分の事だけに精一杯で、その時その時の出会い、一緒に過ごせた人との時間のありがたさを認識できていませんでした。今思うと、本当にもったいない事をしたな〜と感じます。「辛い思い」、「頭にくる思い」、「楽しくてどうにもならない思い」。。。そういった時をどんなに愛おしく思っても、決して戻れないんだよね。どんな過去の経験も思いも、み〜んな愛おしくなっちゃうんだよね。
今、目の前にいる人との時間、自分一人で自然を思いっきり感じている時間、一人で居ようと人と居ようと、その短い時間や感性は、無常で、二度と起こりえないんだよね。過去の愛おしい時を抱えて、今という時を精一杯生きて、未来に起こりえる出会いに胸を踊らせていたいね。勿論、良い波とボルダーとの出会いも含めて。。。
この世の中では、もう、キクちゃんには会えないけど、いつか、どこかで、もう一度会える事を祈って。。。
今回は、「落ち」はありません。みんなも、自分の人生、トコトン生き切ってね。
第四話: あんたは出世するよ ~ マウイ編~ 2009年 秋
9月に日本から帰ると、いつもながら溜まったた仕事、新規ビジネスへの対応でドタバタして下りました。そんな忙しい中、友人の結婚式に出席を依頼され、本人の意志とは裏腹にどうしてもマウイ島に行かなければなりませんでした。もちろん忙しい中のやり繰りです。周囲からは、「本当に行きたくないの???」という質問に250回位頷きながら、週末だけをマウイで過ごすという強行軍にでました。
結婚式も無事に終わり、残された時間は一日半。勿論、丸々一日は神さん孝行で海や山への冒険。。。隙を見て、North Shore のHookipaをチェック。。。???!!!
でっ!デカイ。。。見た瞬間、今回の旅でのサーフィンが終わった事を確信。ハワイアンでもたったの10人しか沖に出ていず、その内2人はビキニのお姉さん。この人達の根性、パワー、テクニック。。。どれをとっても僕の20倍は凄い。僕が入ったら、確実にモロカイ島に流されるのは明らか。やはりここは、カリフォルニアのような上品な波ではなく、完全にサバイバルの大波である。ここに住んで、2〜3年トレーニングを積まないと到底太刀打ちできないよね。
次の日は、飛行場に11:00amまでに入らなければいけなかったのだが。。。7:30am からStand Up Paddle Board のレッスンを発見、即予約を入れる。10:00am までに海から上がり、シャワーを浴びて10:30amにホテルを出れば、何とかなる。。。と勝手なスケジュールを立てる。
7:30amに近くのピーチパークに行く。パドルボードが2本置いてあるが、そこには誰も居ない。でも板が置いてあるので、多分集合場所はここのハズだが。。。
神さんは、綺麗な海に惹かれてビーチにヨガをしに行ってしまった。待つ事、15分。遠くからシャーシャーとスケボーの音を立てて “お前マジ!絵に描いたようなビーチの遊び人じゃん!” みたいな奴が近づいて来て、
“Hey, Bro! You wanna learn a Stand Up Paddle?”
ゲェッ!嘘でしょう?お前が教えるの? (こころの中で叫ぶ僕)
しかも、もの凄い強風で目が開けられない位酷いコンディッション。
これはキャンセルかな〜と思っていると、どうも彼。。。やる気満々。
「今日は風が無茶苦茶強いから、風上に向ってパドルするから、ちゃんと付いて来な。」っと彼。
僕は、質問しようとして
「こんな強風じゃ、ビーチまで..」
「しっ!静かに!見てみろよBro! 今日は可愛子ちゃんがビーチでヨガやってるぜ!」
全然人の話しを聞いていない。勿論、彼のコメントを無視する僕。
「Hey Bro! 今日は身に付けているものは、皆、車に置いて行った方がいいな。飛ばされるぜ。」
「君は、サングラスしたまま入るの?」
「俺はイントラだし、ストラップしてるから平気さ!でも、Broは初めてだろうし、この風じゃバチャバチャ落ちまくるだろうから、何も持たない方がいい。」と断言。
強風の中、何とか板を浮かべた僕たち。
「Hey Bro! 最初は立てないから、無理して立つな。ゆっくりやれ、ゆっくり。立てたら、風上に向ってパドルを初めてくれ。俺は直ぐに追い付くから。。。」
「へっ?インストラクションそれだけなの???」と僕。
「んっ?いやいや、追い付いたら次のテクニックを教えるから。」とって付けたような答え。
おおっ!以外に楽勝じゃん!一発で立ち上がり、バンバン風上に向ってパドルを始める僕。な〜んだ、レッスン取る事もないじゃん。何か、損した気分。それにしても、あいつ遅いなあ〜。岸を振り返ると、彼。。。何か、板の上でタコ踊りしてるではないか!
何やってんだ、あいつ?バッシャーン!見る間に転落。
「早く来いよ〜」と叫ぶ僕。おおっ、オール振り回してるぞ!立った、立った!バッシャーン!また落ちた。。。何やってんだ?
仕方が無いので、一人で波を追いかけて遊ぶ。。。まだ来ないので、周りを探す。あれっ?あいつ、風に流されているじゃん。ありゃー、モロカイ島行きだよ。しょうがないので、風に乗って追いかける僕。
「どうした?何があった?大丈夫か?」と僕。
「ハァーハァー、ゼーゼー、Bro! 初めてにしちゃ、無茶苦茶上手いな!」
「いや、サーフィン歴だけは長いからね。」
「何だ、それを早く言ってくれ。 ハァーハァー、ゼーゼー」(それとこれと、何の関係があるんだ〜!) 僕の心の叫び。
「Broのより、俺の板の方が小さいんだ!しかも、この風だろう!キツイぜ!」
「代わってあげようか?」
「Bro! そうしてくれるか。ありがてえ〜!」随分と素直に応じる彼。
(こいつ、本当にイントラかあ〜?どっちが客だかわかんね〜な〜)と僕のこころ。
板を交換してみると、確かにキツイしバランスが難しい。まあ、いいけど。
バランスと威厳を取り戻した彼。。。急に饒舌になる。
「余り、俺から離れるなよ!何かあった時、助けられるのは、俺だけだからな〜。」
「OK」(良く言うよ、こっちが助ける方じゃないの?。。。とは言えない僕。)
「どうだ、難しいだろう〜?ところで、Broはどっから来た?」
「LAだよ。」
「おおっ!ちょうど良かった。ハリウッドに知り合いはいないか?」
「俺の次の狙いは、ハリウッドでスターになる事だ!まあ、見ていてくれBro! 今日の事は、俺がスターになった時、良い思い出になるからよ。」
(もう既に、すげぇー思い出になっているよ。)
「いないけど。。。どうやってハリウッドに入り込むの?」
「先ずは、バーに顔を出して、名前を売り込む!」
「?!?!?!」(何言ってるんだ、この人。大丈夫か〜?)
「君は、いくつなの?」思わず、歳を聞いてしまった僕。
「33歳だ〜!」
「えっ、マジ、33歳にもなって。。。xxx」その先が言えず、言葉を探す僕。
「若く見えるねえ〜。まだ、行けるかもよ。。。」
「そうか、有り難う!お前は幾つなんだ〜?」
「43。。。位かもしれない。。。」と言葉を濁す。
「そんな行っているのか〜、同じ歳かと思った!」(おいっ!一緒にするな、一緒に!でも33に見られたのか〜と嬉しくなる。。。情けない。。。かもしれない。)
「しかし、君は人生にPositiveに取り組んでいるねえ〜。上手く行くといいね。」(それ以外に何が言える!)
「ところで、俺らかなり流されているんだけど。。。このままじゃ、モロカイ島に行っちゃうよ。」と僕。
「こりゃヤベ〜。岸に向ってパドルだ〜。」
(オイ!自分だけ、先に行くな、先に!)と僕のこころの叫び。
「ちょっと待て!あの沖にいるの人じゃないか〜?」と僕
「そんな訳無いよ、あんな沖まで行かないでしょう。Broはサングラス無いから。。。、光の反射だよ、反射。。。」
「あれっ!お前、サングラスが無いよ。」
「だあ〜〜〜〜〜!サングラス無くしたあ〜〜〜!$150もしたのに〜!」と落ち込む彼。。。
「今、気付いたの?」と僕。
「まあ、こんな事もあるさ!大事なのは、Broがレッスンを楽しんでいる事だ!」
「しかし、Positive だね〜。」(これの何処がレッスンなんだ〜。と僕)
岸に帰ると、白人男性が首から双眼鏡を掛けて呆然と沖を見ている。
「どうしました?」と僕。
「あそこにいるの、僕の彼女なんだけど。。。」
「あれっ!やっぱ、あれは人じゃん。流されているんだよ!」
そこで、我らのヒーロー、イントラ登場!
「君、君!あれやばいよ。助けた方がいいんじゃない。助けようか?」
(おおっ、こいつやっとまともな事やりそうじゃん。でも、下手したらお前も遭難するぜ、ってこころでつぶやく僕。)
「お願いします。」と彼氏。
間髪を入れず、
「よし、お前がこのパドルボードで行け!」と僕を指差す!
「はあ?嘘でしょう?」と僕。。。
「違う、違う、君じゃ無い、お前だ!」
(僕の後ろで、サーフィンのレッスンを教えていた同僚だか部下だかに指示。流石に、指示出しは異常に早かった。)こいつは、出世しそうだ。。。と納得する僕。こういう方をよく見かけますが、まさか、ここマウイにも生息しているとは。。。
隣のビーチまで流されて、そこから上がる事で、救助は無事完了。我々は、残った板の片付けの為に公園に戻る。
「Hey, Bro! 今朝のヨガの可愛子ちゃんがこっちに来るぜ!俺は格好いいからな〜。」
(完全にヒーロー気分のイントラ。。。君が助けたわけじゃ無いだろう!)
「どう?楽しかった?」
「色んな意味で、馬鹿笑いして、面白かったよ。」と僕。
「ああ、そうだ。この人がStand Up のイントラ… この人、僕の神さん。」
「x?x xx?x おっ、お前はラッキーな奴だな〜。」と彼。
「いや、いや、君ほどラッキーじゃないよ。キット、ハリウッドで成功するよ。。。」と僕。。。(マジにこういう人って、出世するんだよな〜。)
(車の中でも会話)
あの人、本当に大丈夫だった?何か、バチャバチャ落ちてたけど。。。話し方も酔っぱらいみたいだし。。。二日酔いじゃないの?
そういえば、彼、「昨夜バーで、$100も呑んじゃった。」って悔やんでたな〜。。。
(将来のハリウッドスター。。。かな〜。)
第三話: 水戸黄門 2009年 春
皆さん、今年も楽しい話しをお届けできるよう、相変わらずの情熱をもって、バンバン、パンドラの箱を開けて行きます。
この所、楽しい話しが載せられなかったのには理由がありました。実は、ずうっと落ち込んでいて、書く気がしませんでした。
そうなんです。新年早々いきなりありました。
2009年1月1日、ちょっと頭の痛い朝である。昨日は、馴染みのお店で何十年振りかの年越し蕎麦を食べ、呑み過ぎた。カウンターで大騒ぎをしてしまった。もう酒は呑まないと固く誓う。
午後になり体調も戻り、クリスマスの飾り付けの片付けに入る。豆電球と格闘しながらも無事片付けを終え、段ボール箱にしまって、スタスタと物置に向う。
??? あれっえ~。。。 何で南京錠が無いの? 4つ共、無くなっているなあ~。。。
状況把握に3秒。。。ボケた頭に活を入れるのに2秒。。。
えっ!マジっ!やられたあああああ~~~~~っ!
怖くてドアを開けられず、立ち尽くす。3分程こころを落ち着けてから、ドアを押し上げる。
分っていたが、やっぱり無い、無い、な~~~~い!無い、無い、無い、無い、な~い!
えっ、これもな~い!元旦早々、いきなり事件になってしまった。しかもこの泥棒、ふざけたまねをしてくれた。取られたもの。。。
サーフボード5本、新品のウェットスーツ3枚、ボードケース一枚。。。
扇風機の頭。。。何で頭だけなんだ!
取られた板は、日本での市場価格が¥35万を越える物や価格のつかないレア物の板で、記事を書く為にテストライド用に預かっていた板などなど。。。損害合計¥60万くらい。しかも、波乗り関連ばかり。。。
ばかやろ~!10年以上掛けてチマチマ集めて来たものバッカリなのに~。他には手を付けず、僕が一番大事にしていた物だけを狙って、根こそぎ持って行きやがった!(扇風機の頭以外です。はい。)
残ったのは、古くボロボロの板2枚とランニングのウェットだけ。。。板はまだしも、ランニングじゃ冬の海には入れない。。。確実に心臓マヒを起こすよな~。
先ずは、警察だ~。
ポリスのお姉さん登場:
I’m sorry. を連発。状況を見て。
これは、プロが狙ってやった事だわ。綺麗な仕事だし、サーフボードも高価なものだけを狙って持って行っている。クリスマス時期は人が実家などに出かけるから、こういう事は良くあるのよね。多分、この物置に何が入っているか知っていた者の仕業ね。南京錠はいくつ付いていても、専用カッターがあれば簡単に切れるしね。
僕: そうか、ずうっとアリゾナの山ん中でフラフラしていた。犯人捕まるかな~?
お姉さん: それは、無理ね。指紋も採り様がないしね。
僕: 物は見つかるかな~?
お姉さん: それも、無理ね。質屋をシラミつぶしに回ったら何か出て来るかもね。
僕のこころの叫び:(何言ってんだ~。質屋何かに売られたら、それこそ二束三文じゃねえか。その辺の板とちゃうでえ~!) — 何故か、関西弁。。。
ポリスのお姉さんは無難に事務処理をして、ショットガンを相棒にデカイパトカーで帰って行った。。。
何なんだ、今のは!なんの足しにもなんね~じゃん。
親戚を含め、アメリカ人の友人は I’m sorry. を連発。全員からほぼ同じ励ましの言葉。
それでも、落ち込む僕。。。怒りと悲しみの間を彷徨う。ハッキリ言って、海底2万マイル位落っこちた。
そうだ、預かっていた値段のつかない板の報告をしなければ。。。
僕: もしも~しっ!あっ、こちらこそ、明けましておめでとうございます。じっ実は、余りおめでたくないんです。空き巣に入られました。板やウェット、ぜ~~んぶ持って行かれちゃいました。そう、綺麗さっぱり、ぜ~~~~~んぶです。
友人: 。。。 。。。
僕: 。。。 。。。
その時耳鳴りを聞いたのは、僕だけだろうか。。。遠くの方で、誰かが叫んでいた。。。
人~生~、楽ありゃ、苦~もあるさ〜!ババババッ、ババババッ!♪♪♪♬
バババババババッ♫。。。
Bye Bye…達者でな〜!
第二話: 泥棒退治 2008年 秋
ハロ〜日本の皆さん!
オバマさんが勝利して、僕はアメリカの理想を追い求める姿勢に
あらためて希望を見出しています。やっぱこの国は、結構力ずくで
大ボケかます事もありますが、凄くバイタリティーのある国だな〜と改めて感心しています。
さて今回の話しは、僕も初めて体験した「やっぱアメリカだよな〜」って話しです。
10月31日金曜日は、皆さんもご存知の様にハロウィーンの日でした。その夜は友人の家族やらが家に来て、家の近所にチョコレートを確保しに行ったり、家からもチョコレートを取られたりして夜更かしになってしまいました。
次の日は近所の皆さん含め、大人はほぼ二日酔いで全滅状態。雨もグショグショ降り出し、誰も外には出ていませんでした。
僕は、しょうがないのでチマチマと仕事をしていました。
すると、ドアのチャイムがピンポ〜ンと軽快に鳴るではありませんか。家の犬が(くまと言います。) すかさずドスの効いた声で、応酬、神さんが窓から相手を確認しています。僕は無視して仕事。。。
すると神さんが、「あの人達、何かおかしいよ。ちょっと、こっちに出て来て。」平和慣れしている僕は、かなり面倒臭さそうにドアを開けて相手を探しました。この二人、家のドアベルを鳴らしといて、既に3~4軒先を歩いています。
しかも、絵に描いた様な挙動不審。。。どう見ても、全滅状態の我々の近隣の車を物色しているではないか!しかも、事もあろうか!その内の一台の車の鍵が開いていて。。。
(何で、鍵が開いてるの?この車の持ち主は、昨晩自滅したな。と私。。)
しかも、こいつら我々の見ている前で堂々と車に乗り込み物色を始めるではないか。
すると突然!「お前ら、何やってるんだ!そこで待ってろ!」と大声!
家の神さんです。すげぇ〜、怖い顔して睨んでます。その大声にビビったのは私です。しかしその二人、トボケてまだ物色しています。
すると神さん、「靴持って来て!捕まえてやる!」 えっ!マジ?
神さん、靴を履いて、風神の如く走り出す。私も直ぐに後を追う。くまは、状況を把握してか、ヨダレをたらしながら吠えまくる。 もう狂犬状態。あっやべ〜、くまを閉じ込めておかなければ。。。奴ら、八つ裂きにされちゃう。
僕、引き返す。くまを閉じ込める。
その2人、やっとマジに逃げ出す。家の神さん、元大学中距離選手。既に僕が追い付ける距離じゃない。取り合えず木刀を手に、後を追う。
同時に近所人に助っ人に出て来てもらおうと思い。「火事だ〜」と叫ぼうと思ったが流石にこれは、大ヒンシュクを買うと思い、片っ端からドアをタタキ、近隣の人を外に出しながら走る。中々、助っ人が出て来ない。何やってんだ〜。やっぱ全滅か〜。
だんだん神さんに追い付く(俺もやるもんだな〜) 何やら、神さん、犯人に叫んでる。「警察に、今電話してるわ。捕まえるわよ!」「犯人は、黒い傘をさして15th StreetとPattonを北上中」。。。
ここまで来たら、下手に敵に弱みを見せられないと思った私。。。思わず「2度と来るな!お前ら、タタッ切たる!」と叫びながら、追いかける。
この二人、かなりビビったようで、傘を放り投げて、それこそ脱兎の如く逃げ始める。
この決死の逃走には、神さんも付いて行けなく断念。きっと相手も相当ビビったのだろう。電話片手に、警察と連携を取る足の速い女と、棒を振り回し、訳の分からない事を口走る男が追いかけて来るんじゃな〜。。。
僕の心の中: (馬鹿な奴らめ!相手が悪いんだよ、相手が。2度と来るなよ!あ〜あ、でも怖かった。)と情けない僕。。。
そこで神さんがボソッと
「あなた、ジェダイの騎士みたいね。」何気に、まんざらでもない僕。。。
「ところでその棒切れで、どうやって相手をタタッ切るの?」
。。。実は、僕も今それを考えていたところなんだ。。。
近所に戻ると、皆さん総出して、ご近所会議。。。我々に注目が集るが、皆さん、僕に対してかなりドン引きしている。
僕 「何で直ぐに出て来てくれなかったの?」
隣の人 「そんなこん棒みたいなの持ってる奴がドアを激しく叩いたら誰も出ちゃいかないよ。」
。。。確かに、そうだな。。。と思う僕でした。
泥棒は、見事に逃げおおせました。多分、2度と我々に近所には近づかないでしょう。相手も多分相当ビビった事でしょう。僕が逆の立場でもビビるよ。
何せ、足の速い女と棒を振り回す男とヨダレを垂れ流す大きい犬に追いかけられれば。。。
アメリカでは、いつも臨戦態勢でいなければね。この所、ちょっと平和ボケしていました。
皆さんは、あまり真似しないでね。どうしても戦わなければならない時は、中途半端は墓穴掘るから気を付けてね。
では、平和な日々を。
こんな感じ
第一話: おもしろい標識 2008年 春